船南面から龍岩面明浦里に行くと右側に東岩里という村がある。東岩里から東を見ると低い山が一つあるのだが、岩があちこち突き出ている。この山の中腹にまっすぐに突き出ている岩があるが、その岩の姿がまるで龍の頭のようだった。昔は龍が空に昇るような姿だったが、月日が流れるにつれて雨風に削られ今はその形だけがやっと残っている。
高麗末葉、国が荒れている時であった。高麗は仏教を奨励する国で、あちこちに寺や庵子があった。しかし国が傾くと民の生活は貧しくなり寺や庵子のお布施が減ると僧侶たちは托鉢をして寺を営んでいた。今の東岩里から東の方に小さな村があったが、全て固城李氏の集団部落で豊かな村であった。村の真ん中に12の門を置き、下人も多く使っていた家があったが、この家は村でも一番豊かでまた権勢もあった。村全体がこの家の小作をしているため、地主の言うことによく従っていた。ひどい凶年の年のことであった。一日に何度も僧がお布施を求めてきた。非常に多くの僧たちが集まってやかましいくらいだった。そこである日村人たちは一つに集まり地主と相談をした。
「ご主人!!最近僧侶たちが多く托鉢に来るのですが、少しのお布施なら仕方ありませんが非常に多くなりこれからが心配です。何かいい方法があればお教えいただきたく、こうして集まりました。」と申し立てた。地主は「今から托鉢に来る僧たちを全て縛り、納屋に入れておけ。腹が空けば帰ると言うだろう。そうすればそれ以上は来ないであろう。」と言った。次の日から托鉢に来る僧は全て痛い目に会い逃げ出し、ある僧は納屋に閉じ込められ、数日間何も食べられず、追い出された。
そうして数年したある年の春、一人の道僧が托鉢に来て、そのまま納屋に閉じ込められてしまった。数日たっても誰として膳を持ってくる者もいなかった。道僧は非常に腹が減り外に向かって大声を上げた。その声に下人の一人が
「ご主人が施しを下さるまで静かに待っていろ。」と叫んだ。「なんと!!主人に会わせてくれ。私は主人を助けるために来た者だ。早く主人に会わせてくれ。」と言った。この言葉を聞き、下人は主人の元に駆け込み、そのことを告げた。
「私は元々江原道の金剛山で修行していた僧である。ここを偶然通り過ぎたのだが、この村は今後数年すると滅びいてしまうので、それを伝えに来たのに、その私をこのような目に遭わせるのですか?向う側の山の中腹に見えるあの岩を龍の岩と言いますが、実はその龍の岩の龍の口のようになっている所を突くとこの村が昔のように豊年になるでしょう。あの岩は龍が天に昇ろうとして岩に変わったもので、この村を見下ろしているためあの岩をこのままにしておいたらその災いが村に来て数年後にはこの村が滅びてしまいます。」と告げた。この話しを聞いた地主はすぐさま石工を呼び、龍岩の頭を突けと言った。道僧を縛ったまま石工と下人は龍岩がある所に近づくと、どうしたことか晴天だった空に突然雲がかかり、雨が降り始めた。石工は恐ろしくなり下人を見て
「本当に大丈夫だろうか?」と言うと
「どうだろうか」と下人は答えた。
石工は地主が命じたことに恐れを感じるが、仕方なく釘と金づちで龍の頭を突くとその瞬間、雷がなり下人と石工は稲妻にあって死に、突かれた龍岩の頭からは血が流れ割れてしまった。一方地主と道僧は家で待っていたが雷の音とともに道僧は「お前の行いが不届きゆえ、天が天罰を与えこの村は3年以内に滅びてしまうだろう。」と言って天に消えてしまった。そのことがあってからこの村は一軒、二軒と滅び始めていった。それからこの村に住んでいた人は一人、二人とそこを離れ、龍の頭が見えない西の方に行き、新しい村を作り住んだという。